今回はホンダカーズ新潟中央赤道店さんから車両をお借りして、フルモデルチェンジした新型『N-ONE』に試乗してきました。
『N-ONE』はデビュー時からほんのりと気になっていたクルマですが、今回のフルモデルチェンジで俄然意識する存在になりました。
なぜなら、6MTの新設定です。
きっと電動車比率が増えてきているであろう約10年後、中古の『N-ONE』の6MTを買うかも…なんてマジで思っています。今や軽ターボ×マニュアルは貴重な存在ですので。
一方で、失礼ながらホンダには『N-ONE』は必要なのか? なんてことも思っていました。
スペースや子育てシーンで選ぶなら『N-BOX』だし、ビジネス用途なら『N-VAN』、そして“シンプル”や“ベーシック”を基準で選ぶ人には『N-WGN』があるし…と。
好みはあれど、現行『N-WGN』のデザインっていいですよね。『N-ONE』がセレクトショップのおしゃれ服的とすれば、『N-WGN』は無印良品やユニクロ的なシンプル&ベーシック感があって。…で、今やむしろで好まれるデザインは、そっちのような気もしたりして…。
“人があまり乗ってないクルマがいい”の方々には、ちょっと前までは『N-BOX スラッシュ』があったけど、今年2月で生産終了になったから、その役割もあるのかな。
やはり、1967年に登場して大ヒットした『N360』のテイストを受け継ぐオンリーワンなデザインがポイントなのでしょうか。
前置きが長くなりましたが、そんなことを思っていたクルマです。
試乗してみたら、また別の何かが伝わってくるかな? という期待感もあり、楽しみにしていた試乗でした。実際、走ってみて分かったことがありましたし(後半で)。
安定感のある台形フォルム
試乗車は『プレミアム ツアラー』。
グレードは大きく分けると、ベーシックな『オリジナル』、質感を高めた『プレミアム』、走りを求めた『RS』とあります。
『プレミアム』のなかにある『プレミアム ツアラー』はターボ搭載のグレード。
まずデザインですが、『N360』を継承するデザインは残しつつ、ふんばり感のある台形フォルムを採用。
フルLEDのヘッドライトはくっきりした丸目がかわいらしく、リアは四角いダブルリングが特徴的なフルLEDリアコンビネーションランプを採用。
『N360』は知らずとも、このデザインだけで買う方もいるでしょうね。
運転席に座り込むと、外観から抱くイメージよりもシート位置や視界が高く、小柄な女性でも運転しやすそうです。
インパネは助手席側まで伸びていて開放的。メーター類は文字が大きく視認性に優れています。
シートは座り心地や手触りも良好。
充電用USBジャックは急速充電対応タイプ2個と、ギャザズナビゲーション接続用が1個。
ちょっと気になったのは電子制御パーキングブレーキのスイッチ位置。ステアリングのせいでちょっと見えづらいですが、運転に慣れた頃には気にならなくなるでしょうね。
助手席側にも座ってみましたがシンプルで広々。足を組んでゆったりできるほどです。
後席は十分広々。
ちなみに『N-ONE』には軽自動車初となるリアシートリマインダーを採用。
後席ドアの開閉履歴をもとに、荷物の置き忘れや乗員の存在をメーター表示と音で教えてくれるんです。
一瞬、この装備いるかな?と思いましたが、夏場に後席で寝ていた子どもの車内置き忘れ事故などを考えると、万一のとき命拾いをする装備かもしれません。
また、荷物の積載性も優れています。
通常のままでも十分ですが、リアシートを前に倒せば長い荷物も積めるし、後席座面を跳ね上げれば高さのある荷物も載せられます。
さすが「センタータンクレイアウト」ってとこでしょうか。
このクルマの本領発揮は高速域!?
さて、プラットフォームを一新した走りをチェック!
今回試乗した『プレミアム ツアラー』はターボ仕様。発進時からスムーズですが、街中ドライブにおいて特に加速が良くてラクなのは30~60km/h付近。
ボディ剛性の高さや安定感など軽自動車とは思えないほど。
まるでリッターカーのような質感です。スーパーハイトワゴンのような高重心感もありません(まぁ昨今のハイトワゴンは操縦安定性も優れていますけどね)。
ふとステアリング奥をみるとパドルシフトがありました。そこで新潟バイパスを走ってみたら一気に楽しさアップ!!
まず、ターボパワーをより楽しむためSレンジにチェンジ。そしてパドルシフトでマニュアル車のように自らの意思で操作。
そしたら性格の変わり様…というか、きっと本来もっていたであろう『N-ONE』の楽しさに気づかされました。
それまでの「快適」から「悦楽」なドライブフィールに変わったんです。“悦び”が加わりました。
新潟バイパスをただ走っているだけでも楽しいのです。
「あれ? なんだ?」と、まるで冨岡さんに「凪」を喰らった“下弦の伍”累の気分。
このまま2時間くらい走りたいと思いました。
グレード名通り、まさに“ツアラー”としての実力を垣間みることができたのです。
ちなみに、ずっとSレンジで運転していると、それまで十分快適だったDレンジのエンジンレスポンスが少々ダルく感じてしまうほど。
とはいえ街中をゆったり走るときはDレンジがラクチンですね。
もし自分がオーナーなら、朝のボーッとした通勤時や子どもたちを載せてのドライブはDレンジ。
そして仕事帰りはSレンジ×パドルシフトで気分をリフレッシュ…なんて使い分けをしそう。
軽ツアラーで、ふと思い出したのはダイハツ『ソニカ』。
ロー&ロングシルエットでトルク十分のターボ車でした。
評価は高かったですが短命に終わったクルマです。
マニュアル設定があれば所有していたかもしれないと思うほど魅力的な一台でした。
もし『ソニカ』ファンが今、クルマを探しているのであれば、『N-ONE プレミアム ツアラー』を試乗してみてほしいです。
ちなみに安全運転支援システム『Honda SENSING』は、もはや当然の全タイプに標準装備。
8つの機能に加え、後方誤発進抑制機能やオートハイビームを装備しています。
また、6MT車にはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)とLKAS(車線維持支援システム)を採用しています。
というわけで冒頭の話に戻ると、今回の試乗で『N-ONE』の存在意義を確認できました。
“新たに何かを発見できた”というより、“体感して存在意義を再確認できた”感じです。
それは〈飽きのこないオンリーワンなデザイン×質の高い走り〉です。
ここは他のNシリーズから突出した魅力で、しっかり差別化できていると思います。
ただし、これは今回試乗した『プレミアム ツアラー』に限っての感想ですから、NAタイプの『オリジナル』『プレミアム』に乗ったら、また別の感想を抱くかもしれません。
NAによるパワー不足は実はむしろウェルカムです。
車体がエンジンに勝っていて、エンジンを回して走るクルマも楽しいですもんね。レスポンスはターボより優れているかもですし。
機会があれば乗ってみたいです。
後記
とあるニュースで拝見しましたが、『N-ONE』購入層の3割以上が6MTを選んでいるそうです。
ホンダは2割程度と予想していたらしいです。
たぶん私のようなマニュアル車好き(おじさん比率がかなり多数)で、“家族のために自分用のセカンドカーは4人乗りの軽”の方は、この3割以上を当然と思っているのではないでしょうか。
だって、“クルマ好きなら『S660』や『コペン』をどうぞ”といわれても、子どもたちと乗ることが多いおじさんたちに2人乗りは無理ですもんね。
4人乗りでスポーツ気分を味わえる軽は、おじさん足グルマの救世主なんです。
最後に、どうでもいいけど『N-ONE RS(6MT)』を、『シビック 1200RS』(昭和49年発売)気分で乗るのも楽しいかなと思いました。
いろいろ異なる部分はあるものの、ざっくりサイズとパワー感は似ているところがあります。
『シビック 1200RS 〈2ドア〉』のスペック
※N-ONEと比較してみました。
●全長×全幅×全高:3650×1505×1320mm
(N-ONE:3395×1475×1545mm)
●ホイールベース:2200mm
(N-ONE:2520mm)
●車両重量:695kg
(N-ONE:840kg)
●排気量:1169cc
(N-ONE:658cc)
●最高出力:76ps/6000rpm※グロス
(N-ONE:64ps/6000rpm)※ネット
●最大トルク:10.3kgm/4000rpm
(N-ONE:10.6kgm/2600rpm)
●トランスミッション:5速MT
(N-ONE:6MT)
●タイヤサイズ:155SR13
(N-ONE:155/65R14)
うむ! 10年後買うならオレンジのボディカラーの『N-ONE RS(6MT)』かな。
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