新型『N-BOX』の進化のポイントは3つ
人気の軽スーパーハイトワゴン『N-BOX』がフルモデルチェンジしたので試乗をしてきました。
車両をお借りしたのはホンダカーズ新潟中央 近江店(新潟市中央区)。試乗車はオーソドックスで飽きの来ないスタイルの『N-BOX』の中から、注目グレード『G・EX Honda SENSING』。
現在『N-BOX』に乗っているオーナーさんや自動車評論家さんなら「ここがもっと進化すればいいのに」というポイントはあるんでしょうが、一般ドライバーの私からすると、とくにスペース効率やシートアレンジなどは、これ以上どう進化させるんだろう? という気がしていました。
2011年にデビューした初代『N-BOX』には、ホンダF1の第2期参戦経験者がエンジン開発に携わっていたりして、それだけで走り好きにはロマンを感じるクルマでした(だからこそ、ぜひマニュアル車を設定して欲しかったというクルマ好きも多かったはず)。
そんな『N-BOX』ですが、フルモデルチェンジした新型は、やはり確実に進化していました。注目すべきポイントは3つです。
ひとつは軽量化。フロアフレーム構造の効率化や高張力鋼板の適応拡大のほか、新しい接合技術も導入したそうで、その結果約80kg軽量化させるとともに、高剛性化を両立させました。
確かにカタログの車両重量を比較すると、先代は950〜980kg(FF車/4WD車が1,000〜1,030kg)に対して、新型は890〜960kg(FF車/4WDは950〜1,020kg)です。
それだけで燃費や走りへの恩恵が大きそうですが、さらにパワートレインを新設計したほか、CVTやサスペンションシステムの高性能化などにより、走行性能や低燃費、乗り心地などがレベルアップしたとのこと。
実際、試乗してみても確かに走りは上質でした。6年前に初めて『N-BOX』というクルマに触れたときの驚きが強かったので、そういう意味では2代目って大変だよね…なんて思いつつ、そのときほどのインパクトではないものの、確かに質感が高まっていました。
発進時からボディのガッシリ感が体感できましたし、ひと昔前の軽自動車にあったようなボディの薄さというかペラペラ感が一切なく、まるで質感の高いコンパクトカーのようなワンランク上の重厚感すら感じられました。こんな剛性を高くしつつも軽量化しなくちゃいけないって、メーカーも大変ですね(って何様目線だっつーの)。あと走行中、室内も静かです。
ホント、最近の軽ハイト系、スーパーハイト系に乗っちゃうと、“もはやファミリーカーもこれで十分じゃん”モードになってしまいます。
この前の『ワゴンR』然りね。
前後に57cmも移動する助手席は何かと便利
注目点の2つ目は“使い勝手”。ママさんにとって日常生活のなかでの使いやすさはとても重要ですもんね。
目玉装備は「助手席スーパースライドシート」。
前後のスライド量が57cmもあるので、運転席から助手席側へラクに移動できたり、助手席に座りながら運転席後ろの子供の世話もスムーズにできたりします。
シートの移動操作がラクな点もうれしいです。後席に座っていても、助手席背もたれにある大きなレバーでカンタンに移動できますからね。
なお、「助手席スーパースライドシート」はグレード別設定なのでご注意を。カタログでは「スーパースライドシート仕様」と「ベンチシート仕様」と表記されています。
また、荷物の出し入れや乗り降りもスムーズにできるよう配慮されています。ミニバン並みに開口部が広いスライドドアなので操作も快適。
リアシートを倒せば大きな荷物を収容できる広々スペースが出現。荷室は、天井が高く床が低いので、自転車など大きな物もラクに積めそうです。
とにかく広くて使いやすい室内。今回360度写真を撮影してみたのでご覧ください!
そして「軽自動車にもこんな贅沢装備を選べるのか!?」と驚いたのが、「ハンズフリースライドドア」(ディーラーオプション)。
去年、日産『セレナ』で「なんて便利な装備だ!」とびっくりしたと思ったら、もう軽自動車でも選べるんですね。…いや、ヤングファミリー層が多い軽自動車だからこそ求められている装備なんでしょうね。
そのほかにも、シートの配色や素材にもこだわっている点や、UVを約99%カット、さらに熱さの原因となるIR(赤外線)もしっかりカットしている点など、女性オーナーを強く意識していますね。
全車に「Honda SENSING」を標準装備
注目点の最後の3つ目は、安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」の標準装備です。
衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能などに加え、後方誤発進抑制機能やオートハイビームなどの新機能も採用しており、さまざまなシーンで安心・快適を支援してくれます。
それを全タイプに標準装備したことに感心したのはもちろんですが、カタログの説明方法にも「上手だね〜」と感心しちゃいました。
先進システムって、ただでさえ説明が難しいのに、カタログではイラストを使って見やすく説明しています。
『N-BOX』カタログ25・26ページより引用
ちなみにカタログの話でいえば、『N-BOX』のカタログって前半はグラビアみたいですよ。
『N-BOX』カタログ3・4ページより引用
昔みたい「ツインカム搭載!」なんてフレーズもなければ(…当たり前か)、何馬力! トルク何キロ!なんて大々的にはうたってないですし、エンジンの性能曲線とかもないですもん。
機能などを専門用語をふんだんに使って誇るように紹介するよりも、先ずは“この商品を買ったらこんなに楽しい生活が暮らせますよ”という世界観を伝えるようになってきているんでしょうかね。
というわけで新型『N-BOX』は、スペース効率や使いやすさ、走りの質感、燃費と、全方位にわたって進化しておりました。