【cast編集長セレクト】冬ドライブにおすすめ!“雪ジャケ”傑作アルバム

何故このジャケットなの?と思わず探ってしまいたくなる、冬になると聴きたくなる“雪ジャケ”の傑作アルバム

さて、前回はクリスマス・アルバムをご紹介しましたが、今回は、寒いこの季節にぴったりの“雪ジャケ”作品をご紹介。
もう、ジャケットを見ればおわかり頂ける通り、この感じ、新潟人なら身近な景色ですよね?でもね、意外とこの“雪ジャケ”作品って少ないんです。
でも、今回ご紹介した作品、間違いなく傑作揃い。持っていて損なしの5作品です!!

 

『雪の世界』ブルース・コバーン

ロック&ポップスファンに、「雪ジャケって何?」って聞くと真っ先に出てくるのが、おそらくこのブルース・コバーンのアルバムだと思います。

モノクロであるものの、雪景色の美しさを、これほど表しているジャケットはなかなかありません。左の隅っこに人が写っているけれど、これはおそらくブルース・コバーン本人ではないかと思われます。

大きな公園に降り積もった雪景色の中に佇む彼──我々新潟人なら、この感じ、本当によくわかりますよね。寒さが伝わってくるけれど、決して新潟人はこの感じ、嫌いじゃないはず。カナダはオタワ生まれの彼とは、何か分かり合える気がする。

さて、本作は既に30作近くアルバムをリリースしている彼の原点とも言える2ndアルバムで、1971年にリリースされたもの。ほぼアコースティックギター1本で唄われる、言わば、まさにシンガーソングライターらしい作品。聴いて、あるいは歌詞を読めば、このジャケットのイメージがピタリとマッチする音楽だということがよくわかるはず。

 

『フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー』ボン・イヴェール
『ブラッド・バンク』ボン・イヴェール

2ndアルバム『ボン・イヴェール』でグラミー賞をゲットし、そして昨年リリースした3rdアルバム『22、ア・ミリオン』も大ヒット。

ボン・イヴェールはバンドだが、基本的にはジャスティン・ヴァーノンのソロ・プロジェクト。今や、オルタナ・シンガーソングライターの代表として語られることが多いが、2008年にリリースしたデビュー作『フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー』を聴いた時、まさかグラミーを獲るほどの逸材だとは思わなかった。アコースティックギターのストローク、若干のノイジーな音アレンジ、ファルセット+幻想的なコーラスワーク。とにかく何度聴いても飽きないマジックが宿っています。

僕は、『ボン・イヴェール』『22、ア・ミリオン』よりも、最初のこの『フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー』の方が好きだなぁ。ジャケットは窓に雪や霜がへばりついた地味なものだけれど、この感じが作品とリンクします。

その後にリリースされたミニ・アルバム『ブラッド・バンク』はモロに雪ジャケ。かと言って、家の中でじーっとして聴く感じの作品ではないのがミソ。
ドライブ中に延々とリピートして流していても、全く飽きないポピュラリティーがあります。傑作でしょう、これは。

 

『ノー・ターニング・アラウンド』エディ・モトウ

いわゆる“雪ジャケ”で僕が最も好きなジャケットがこれ。お父さんと息子が手をつないで、雪の降り積もった山道を楽しそうに歩くというもの。ホント、今にも動き出しそうな写真です。

だけどこれ、今回紹介した中では最も入手し辛い一枚。いいジャケットなので是非とも大きなアナログ盤で持っていて欲しいのだけれど、おそらく一万円超えは必至。
CDも2001年に一度リリースされたものの、あっさりと売り場から姿を消しました。アナログでも中古CDでも、安価で見つけたら是非とも購入して下さい。僕はどうしても欲しくて10年くらい前に、海外オークションで質のいいアナログ盤を安価で入手。今も大切にしつつ愛聴しています。

エディ・モトウはボストン出身。60年代から活動しているギタリスト&シンガーソングライター。70年代にはジョン・レノンのツアーに参加し、作品にも参加したこともある腕利き。

今作のリリースは73年。彼のデビュー作。いわゆるカントリー&スワンプロック系ジャンルだけれど、それほど泥くさくはない。スライドギターがごきげんな一曲目『オールド・ニューハンプシャー』では、つい、車のアクセルを強めに踏んでしまいそうなグルーヴ感がたまらない。マンドリンやペダルスチールギターなど、アレンジには、そこかしこにアメリカの景色が広がる。

 

『エイリアス・ブーナ』テレンス・ボイラン

主人公のテレンス・ボイランの着ているふわふわのオーバーコートと、となりにいる犬のむくむく感がいい。冬景色の中にいるものの、何ともあったかそうだ。

テレンス・ボイランは、ニューヨークそのものという音を出す、凄腕デュオ、スティーリー・ダンとも親交の深いシンガー。
1977年にリリースしたセルフタイトルの2nd『テレンス・ボイラン』の方が洗練された音作りだったから、かなり売れたのだけれど、つい聴いてしまうのはチープな音作りの、デビュー作のこれ。まぁ、何てことない作品なのだけれど、スティーリー・ダンの2人──ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが参加していることと、しばらく入手困難だったから故の希少価値感が関係しているのかもしれない。

いや、やっぱり、この微笑ましい、雪の中むく犬と戯れる、このジャケットの何とも言えない愛らしさに魅かれ、ついつい聴いてしまう一枚なのだなぁ。

 

『リヴォン・ヘルム&ザ・RCOオールスターズ』リヴォン・ヘルム&ザ・RCOオールスターズ

フォークからロックへと移行する時など、節目のボブ・ディランのバックには必ずザ・バンドがいた。20代の若い頃から50〜60歳か?と思わせるおっさんのような風貌とブルースやカントリーなど、全てを知りつくしていたかのようなザ・バンドは、その名をつける資格がある、世界最高峰のバンドである。エリック・クラブトンもビートルズのメンバーも、ザ・バンドから多くを学んだに違いない。

さて、リヴォン・ヘルムはザ・バンドのドラマーであり歌い手。代表曲『ザ・ウェイト』のような、ねばっこいロックチューン=リヴォン・ヘルム=ザ・バンドの歌なのかもしれない。

さて、今作はザ・バンド解散コンサート“ラスト・ワルツ”の翌年にリリースされた、彼の初リーダー・アルバム。率いるザ・RCOオールスターズとは、ドクター・ジョン、ポール・バターフィールド、ブッカーT. ジョーンズ、スティーヴ・クロッパーら、泣く子もだまる、とんでもないミュージャン達のこと。そんな彼らをいとも簡単に引き寄せてしまう、リヴォン・ヘルムの魅力がぎっしり。

ジャケットの絵は雪山に佇むコテージ。外は寒いけれど、中はうまい食べ物と酒、そしてブルージーなR&Bが流れるホットな空間──それをイメージさせる最高の“雪ジャケ”です。

リヴォン・ヘルムは数年前、惜しくもこの世を去った。

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