スズキ『クロスビー』は『ハスラー』の単なる拡大版ではない【新潟雪道試乗記】

新ジャンル「小型クロスオーバーワゴン」としてデビュー

ワゴンとSUVを融合させた「小型クロスオーバーワゴン」というジャンルを名乗ってデビューした『クロスビー』。

同社の人気軽自動車『ハスラー』の兄貴分的な存在といわれており、確かにパっと見は似ています。もし、ラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレート(寄付金なしタイプ)をつけたら(要は白ナンバーをつけたら)、クルマに興味がない人はまったく同じに見えるかもね。

スタイル的には確かにそうかもしれないが、さて中身はどうなのでしょう?

スズキには同様に軽自動車の『ジムニー』があり、その兄貴分として1.3ℓエンジンを搭載する小型乗用車『ジムニーシエラ』がありますが、『クロスビー』は『ハスラー●●●』とは名乗らなかった。

そこにはコンセプトの違いや何か理由があるのではないか? それを見つけようという気持ちで試乗してきました。

試乗車は『ハイブリッドMZ(2WD)』。車両をお借りしたのはスズキ新潟販売新潟店「スズキアリーナ新潟」さん。

コンパクトだけど筋肉質でたくましいデザイン

まずは外観をチェック。個人的に思ったのは、『ハスラー』は「かわいくてアクティブ」だけど『クロスビー』はその逆で、まずアウトドア色が先にあること。『ハスラー』よりも厚みがあり筋肉質です。どことなく「チョロQ」っぽい存在感もあり、昔の男子(=今おじさん)にとっては心をくすぐられます。


↑こちらは『ハスラー』。2014年のデビュー当時に撮影した画像

ちなみに『クロスビー』のサイドプロテクターや立ち気味のフロントウィンドーなどを眺めていたら、なぜか初代『フィアット・パンダ』や『ミニクロスオーバー』を思い出しました。決して似てはいないけどね。

↑リアランプはちょっと『ミニクロスオーバー』っぽい?

…と同時に国産車ではガチのライバルはいなそうですよね。もし、ひと回り大きかったら、『C-HR』『CX-3』『ヴェゼル』『XV』などが競合になる激戦区に入ってきて大変。そういう意味では近年のスズキって小型車の展開方法がすばらしいですね。『スイフト』『イグニス』『バレーノ』『ジムニーシエラ』…みんな個性あるわ。

上質で冒険心をくすぐるインテリア

さて、室内を覗くと外観同様、冒険心を刺激するデザインで、『ハスラー』よりかなり男性的といえそう。


↑『クロスビー』の運転席。※試乗車はナビ未搭載車


↑一方こちらは『ハスラー』。メーターまわりの形状は似ているけど、エアコンスイッチのデザインはまったく違いますね。※試乗車はナビ未搭載車

運転席まわりのつくりは、エアコンのスイッチやメーター類、ステアリングなど、上質さでは『クロスビー』が大きく勝るといえそうです。

もっとも異なるのは5人乗りという点。後席に座ったときの前後および頭上のゆとりは特筆モノ。後席の足元はご覧の通りゆとりたっぷり。
↑折りたたみ格納式のパーソナルテーブルを装備

また、室内高が1280mmもあるので、高さがある物の積載や子供の着替えくらいならスムーズにできます。

正直いうと試乗するまで「デザイン優先で後席は狭いのでは?」なんて思っていました。もし、ベース車両が軽自動車の『ハスラー』ならそうかもしれないけど、実は『イグニス』がベースで、なおかつ拡大しているのでゆとりたっぷりなんです。

そういえば『ハスラー』は“『ワゴンR』ゆずりの広い室内”が売りだったけど、その点は『クロスビー』も同様で、室内空間の広さは立派です。

続いては荷室をチェック。試乗した『ハイブリッドMZ』グレードは、後席背面とラゲッジフロアが防汚タイプなので、汚れている物を積んでも拭き取りカンタンなので便利です。

そして荷室下には取り出して洗えるラゲッジアンダーボックスを採用。2WD車の場合は81ℓもの容量を確保。アウトドアで遊んだあとも、汚れたブーツなどや濡れた荷物を気にせず積めて便利ですね。

↑アンダーボックス

もちろんシートアレンジも多彩です。

↑上が『クロスビー』で、下が『ハスラー』。そりゃサイズが違うから収容力も違いますわね

ちょうどよいパワーで安定感のある走り

さて、お楽しみの走りですが、新潟市はこの冬雪が多くて大変なんです! この日も写真に雪が写ったりして。

試乗車が4WDだったら、その実力を試せてよかったけど今回は2WD。でも街中の雪道をFF車で走ることで、かえってこのクルマの素の実力が分かって良い機会かも…なんて開き直りました。

そんな思いを抱きながら試乗スタート。すると発進してすぐにお尻にあたたかい感覚が…。運転席・助手席シートヒーターは、なんと標準装備。立派だわ!

搭載される1.0ℓ直噴ターボエンジンは必要十分なパワー。そして減速エネルギーを利用して発電し、加速時はモーターで力強くエンジンをアシストするスズキお得意「マイルドハイブリッド」を搭載。燃費はリッター22.0km(JC08モード。4WDはリッター20.6km)と良好です。

街中は快適そのもの。ほどよい視界の高さもあり開放的で、安定感ある走りを見せてくれます。一般ドライバーの私には何の不満もありません。制限速度70km/hの新潟パイパスを走ってもその印象は変わらず。

スイフト スポーツ』じゃないんだからパワーはこれで十分! キビキビとスポーツドライブを楽しむというよりも、仲間との会話や好きな音楽を聴きながらリラックスしてドライブを楽しむ…って感じです。

今回は街中の雪道試乗がメインだったので、さすがに高剛性のプラットフォーム「ハーテクト」の実力を感じるまでもなかったです。とはいえ最低地上高が180mmもあるので、雪が積もった路面でも元気に雪を掻き出し走ってくれました。

新潟市内の鳥屋野潟沿い、弁天橋から新潟バイパス桜木インターまでのカーブや凹凸が多い圧雪路を走っていても、2WDなのに不安は少なかったです。

ちなみに4WD車の場合は、ナビ下にあるスイッチでモードチェンジが可能。

エンジン回転を高めにキープして力強いトルクをいかして走る「スポーツモード」と、雪道やアイスバーンでタイヤの空転を抑えて走る「スノーモード」の2つのモードをもっています。

さらに、ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」など、ドライバーをサポートする装備が標準装備されています。

スズキ小型車初となる「後退時ブレーキサポート」を採用

最後は安全技術の紹介ですが、事故を未然に防ぐ予防安全技術「ススギ セーフティ サポート」を採用しています。

前方の車両のみでなく歩行者に作動する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」に加え、リアバンパーに内蔵された4つの超音波センサーによりバック時にも自動ブレーキが作動する「後退時ブレーキサポート」も採用。

さらに周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」は、クルマを斜め上空から見たような映像の「室外視点」と、運転席からの目線で車速を透かして外を見るような「室内視点」で表示が可能。目視しにくいエリアの確認をサポートしてくれってわけです。

 

欲しかったら選んで間違いなし!さらに…

というわけで今回は悪天候もあり、じっくり試乗することはできなかったですが、『ハスラー』との違いが分かったのが収穫でした。確かに『ハスラー・ビッグ』ではないですね。

『クロスビー』が欲しいと思っている方は、直接的ライバルが不在だと思うので選んで正解だと思います。

もし、『ハスラー』にしようか、『クロスビー』にしようか迷っている方がいれば、ぜひショールームで両車を見て、乗ってみることをおすすめします。

2台とも魅力的なので、「かわいい」「精悍」「奥さんメイン」「家族メイン」「街中移動重視」「遊び重視」など選択基準があればすぐに答えがでると思います。

ちなみに、超ピンポイントな意見ですが、「『ジープ レネゲード』が好きだけど、さらに小さいクルマがいいな」とか、「『ミニクロスオーバー』が欲しいけど自分には大きすぎる」なんて方にも合っているかもしれませんね。

by
Car&Life Niigataの編集長。兼、新潟の情報誌『月刊にいがた』の編集部員。広告営業をメインに、カーライフ誌面「このクルマ このシーン」などを担当。編集部イチのクルマ好き。入社以来24年、どんなに歳を重ねようがあだ名は「ヤング」。「新潟版図柄入りナンバープレート検討委員会」の委員を務めた。
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