スズキ『バレーノ』に試乗して感じた独特の異国ムード

コンパクトで1トン未満の軽さ、それでいて3ナンバーサイズ。国産車では珍しいね

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スズキの新型コンパクトカー『バレーノ』に試乗しました。

第一印象は、なんだか異国の雰囲気というか“日本車っぽくないなぁ”でした。

「日本で設計し、インドで生産」ということを知ったうえでの試乗だったせいかもしれませんが、実車をみたら、まさにそんな印象。

その理由のひとつがボディサイズ。

実はこのクルマ、コンパクトカーなのに3ナンバー登録なんです。

全幅が1745mmと、普通の5ナンバー(多くが1695mm)よりも50mm大きい。

1700mm超えなので3ナンバー。じゃあ維持費が高いじゃん…と思っちゃいそうですが心配することなかれ。

実は、排気量での3ナンバー(2000cc以上)なら自動車税でその差が出ますが、ボディサイズによる3ナンバーなので維持費は5ナンバーと変わりなしです。

『バレーノ』は車重1トン未満(ちなみに、試乗した『XG』は1400cc車なのにたったの910kg。後席ドアの軽さにはびっくりしました)なうえ、排気量は1000ccターボと1400ccとくれば、重量税も自動車税も安いですよね。

最近でこそ、「俺、3ナンバーに乗ってるぜ」なんてことを誇るような風潮はあまりないですが、この維持費で3ナンバーなんて、これはある意味お得といえそう。

世界的にみると、昨今このクラス(Bセグメント)は1695ミリではちょっと小さいそうで、つまり生産国のインドをはじめ、欧州など日本国外のマーケットを強く意識しているようですね。

 

独特の内外デザインは、触れるほどにハマってくる!?

スタイリングは流麗であり、引き締まった筋肉のような盛り上がりにも見えます。

異国のムードを感じながらも見て、触れて、乗って、時間が経つほどに「…なんか、いいじゃん」という気持ちになってきました。

個人的な好みは後ろのデザイン。結構ヨーロピアンな感じでかっこいいです。
ふと思ったけど、トヨタが今、『コルサ』を作ったら、こんな後ろ姿になるんじゃないかなと思いました。

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ブレーキランプのデザインも初代『ヴィッツ』っぽいし。…そう思ったのは私だけ?

 

一方、室内は基本的にシンプルです。

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※試乗車はナビ未装着車

インパネが外観のグリルと同じようなラインだったり、デザインへのこだわりを感じます。

今回試乗した1400cc自然吸気の『XG』は、ナビ(写真=試乗車はナビ未装着車)の下にあるエアコンのスイッチが指でひねって操作するシンプルなタイプ。

若干、昭和っぽい感じが懐かしくて結構好きです。
なんか、インド車っぽさを感じるなぁ。

一方、1000cc直噴ターボエンジン搭載の『XT』は、より現代的な上質感あるデザインになっています。

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後部座席もゆったりしてます。

なにせコンパクトカーのわりに幅があるクルマですからね。

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荷物の積載量も9.5インチのゴルフバッグを収納できるほどの広さです。

上下にアレンジできるラゲッジボードを使えば、荷物の形状に応じて対応できます。

 

通勤から長距離まで、気持ちにゆとりをもって運転できそう

今回試乗したのは『XG』のみなのですが、このグレードに関していえば乗り心地はとてもやわらかいです。

タイヤ幅が175mmで、扁平率65だったりするせいもあるかもですが、そのあたりはメカに詳しい評論家でないのでよく分かりません(笑)。

でも、ボディはしっかりしていたので、決してプアでふわふわしたやわらかさではないです。

リラックスできる乗り心地です。

スズキにはキビキビとした走りで評価が高い『スイフト』がありますが、室内でゆったりと過ごしたいとか、のんびりとロングドライブをすることが多いという方なら、同じコンパクトカーでもこの『バレーノ』が良いかもしれません。

ちなみにハイブリッド技術に頼らず、リッター24.6km(JC08モード/『XG』。『XT』は20.0km)と燃費もなかなかです。

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最後に、より走りの楽しさや室内の上質感も楽しみたいなら、本命は『XT』かもしれません。

搭載される1000cc直噴ターボエンジンは、1500回転から16.3kg・mの最大トルクを出す110psのエンジン。

そして車重は950kg程度とくれば、楽しそうですよね。

スイフト』があるけど、先に書いた通りスポーティな走りを求めるのではなく、通勤や買い物など実用性を求めるなら、『バレーノ』がラクチンだったりするかもね。

とはいえ、もし、マニュアル設定があって、足回りをいじってタイヤを換えれば、外観はおとなしいけど楽しいクルマになるだろうなと思いました。

なにはともあれ『バレーノ』はスズキならではのクルマに思えるし、所有するほどに他車にはない独特な味わいで、どんどん好きになっていくクルマのように思えました。

 

〈追記〉新グレード『XS』の登場で選択肢が増加

2016年11月17日に新グレード『XS』が登場しました。

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※スズキ公式ホームページより引用

最近、細い路地を走る新しいテレビCMが流れ始めたと思ったら、この『XS』が追加されたからだったんですね。

先に書いた試乗記事の『XG』グレードをベースとした上級仕様とのこと。

外観上はディスチャージヘッドランプやLEDポジションランプなどの装備に加え、
『XT』グレードと同様の185/55R16タイヤと16インチアルミホイールも採用。

『XG』のタイヤサイズが175/65R15で、やわらかな乗り心地だったので
『XS』はステアリングをスッスッって操作したときの反応がより早く、スポーティな乗り味になっていそうですね。試してみたいなぁ。

 

インテリアにはフルオートエアコン、助手席シートヒーター、本革巻ステアリングホイールなど
質感や機能を向上させた装備を採用。

…ってことは、ちょっぴり昭和っぽい感じが気に入っていた、あのエアコンスイッチは採用してないのね。

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※『XG』グレードより

人とはちょっと違うクルマに乗りたいけど、でも実用性が高くて、比較的手頃な価格帯(『XG』で車両本体価格が140万円台前半から。それで3ナンバー!)がいいな…って方には『バレーノ』はおすすめですね。

オレ今、インドにハマってるんだよね。だからこのクルマにしたんだ」なんてセリフ、クルマ好きも妙に納得だろうしね(笑)

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