フィアットといえばコンパクトジャンルのイメージが強いですが、今回、フィアット/アバルト新潟さんからお借りしたのはミニバンの『ドブロ』。
専門誌でよく比較されるのが、シトロエン『ベルランゴ』とプジョー『リフターロング』の二台。ステランティスグループの同じプラットフォームを使用しているため、この三兄弟にはどんな違いがあるのか、各メーカーがどのように“らしさ”を表現しているのか気になるところです。
ちなみに過去の2台の試乗記はこちら。
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シトロエン ベルランゴ(試乗車は2列5人乗り仕様)※2021.9.2公開記事
https://joyfultown.jp/carandlife/report/11957
プジョー リフターロング(試乗車は3列7人乗り仕様)※2023.7.1公開記事
https://joyfultown.jp/carandlife/report/18715
過去記事からも分かる通り『ドブロ』がもっとも後発。
まず外観ですが、フィアットブランドらしい丸みを感じさせる造形ながら、各部をブラックでコーディネートし、精悍で力強い個性を演出しています。
ボディカラーがこのグレーのほか、ホワイト、ネイビーの3種類だけという、あえて商用車ベースのテイストをいかしたギア感がいいです。そして室内もシンプルかつおしゃれ。
ブラックでコーディネートされたシックな室内には、直感的に操作できるコックピットや8インチタッチスクリーン、 レザーステアリングホイールなどを採用しています。
収納スペースもたくさんあって実用性も抜群。後席も広く、3座独立のリアシートはゆったりとした座面幅を確保し、長距離のドライブでも疲れにくい設計となっています。
『ベルランゴ』に比べると装備を簡略化されており、その分、車両価格も抑えめになっています。商用車的なテイストを楽しみたい方は『ドブロ』がお好みかも。
さて、気になるのは走り。エンジンは1.5ℓディーゼルターボを搭載していますが、リッター18.1km(WLTCモード)とガソリン車のなかでは燃費も良好。
ディーゼルエンジンの心地良い商用車的なフィーリングを残しつつ、かといってゆらゆらする乗り心地でもなく、エンジンの鼓動がドライバーに伝わるような一体感ある走りを楽しめました。
シトロエン『ベルランゴ』やプジョー『リフターロング』との違いは、クルマ好きなら結構想像に近いかもしれません。
『ベルランゴ』はいわゆる“魔法の絨毯”的なふわふわ感。新々バイパスなんて気持ちよくてどこまでも走り続けたくなります。
一方、『リフターロング』は最もスポーティ。全長が35cmほど長い3列仕様での試乗でもそう感じられました。2列仕様の『リフター』だったらもっと顕著に感じられたかも。以前の試乗記でも書きましたけど、走り出した瞬間から小径ステアリングを通してスポーツテイストを感じることができました。
でもって『ドブロ』はと言うと、『リフターロング』ほどスポーティではないものの、『ベルランゴ』よりは近しい感覚。違いは、より商用車的というか、素材を活かしたような感じです。
『WESTとつくったNIIGATAアウトドア本』でも書きましたけど、『ベルランゴ』が独創的なエッセンスを加えたフランス料理的なら、『ドブロ』は素材の良さを活かしたイタリア料理的。
商用車的なギア感が潔く、喩えていえば「無印良品」的。無駄のないシンプルさがカッコイイです。
ちなみに『ドブロ』の3列7人乗り仕様の名は『ドブロ・ マキシ』。
フィアット/アバルト新潟さんにお伺いしたところ、『ドブロ』『ドブロ・ マキシ』を求めて、アウトドアを趣味にする方もショールームに多く訪れるようになったそうです。
『ドブロ』をきっかけに新しいフィアットファンが増えているんですね。