2021年秋に登場した新型車『カローラ クロス』。
『ライズ』『ヤリス クロス』『C-HR』『ハリアー』『RAV4』ほか、トヨタにはさまざまなSUVがあるなかで、さらにどんなSUVを作るのか? それも50年以上の歴史がある『カローラ』で…と最初は思っていました。
…ですが感想を先に言うと、室内の質感や使い勝手、そして運転してみて、これが「カローラ的SUVの世界」であると認識できました。
というわけで今回は、ネッツトヨタ新潟 桜木店さんから試乗車をお借りしました。試乗車は『ハイブリッドZ(2WD)』です。
まず資料には、“時代とともに変わるライフスタイルにお応えできるよう”という一文がありましたが、そういわれると確かに、今の時代“世界のカローラ”にもSUVが必要か…と腑に落ちました。
とはいえ他のトヨタのSUVとどう差別化するのか、今回はその確認作業が楽しみでした。
では、まずはデザインから。
かっこいいフロントマスクではありますが、斬新や先進的というわけではなく、SUVでも“カローラ的=多くの人に受け入れられる”、上質な顔つきになっていると思いました。
きれいに加工されたメーカー写真だとサイズ感が若干分かりづらいですが、全幅は1825mm(ハイブリッドZ・2WD)もあります。思ったより大きいです。全幅も全長も『C-HR』と『ハリアー』の中間。
そして気になったのは、『Zグレード』(試乗車)のヘッドライト。真ん中にラインがあってパッと見、ボルボみたい。
上がシーケンシャルの四連ウインカーになっていて、スモールランプとしても使われます。そして真ん中のラインはスモール兼ディライトに。複雑な造りでこだわりを感じました。
一方、室内は視界が高くて頭上もゆとりたっぷり。
室内照明はすべてLEDを採用するなど、カジュアルな雰囲気の中に、上質かつ洗練された質感のインテリアに。フロントシートには、スリムな背面部と高いホールド性を両立したスポーティなシート採用しています。
後席もゆとりたっぷり。『ヤリス クロス』よりも1クラス上の広さです。
そしてラゲッジスペースは5人乗車でも487ℓの容量があり、後席を倒すとさらに広い室内スペースを確保できます。ロードバイクも積めるらしいです。
今回もっとも感心したのが大開口のパノラマルーフ。後席の頭上近くまで開いてガラス面になるんです。
車内全体が明るくなり、後席に座る人も開放感を味わえます。タイプ別に設定されていますが、これは選びたい装備です。
スポーティよりも安定感第一。走りはまさにカローラ
GA-Cプラットフォーム(TNGAプラットフォームの一種で、『C-HR』やレクサス『UX』などにも採用)と、軽量かつ高剛性を持つボディ骨格を採用。
▲トヨタ公式HPより
そして2WD車は、リアサスペンションに新開発トーションビーム採用。これは軽量化とスペース確保のためらしいです。
ちなみに試乗車はスタッドレスタイヤを装着。ステアリングフィールや乗り心地はノーマルタイヤと異なる部分がありますので、今回そのあたりはご了承ください。
まず、走り出してすぐに感じたのは車両との一体感。『ヤリス クロス』よりひと回り大きいのですが、乗せられている感がなく一体感があります。これはボディ剛性の高さのおかげかな。
そして滑らかに出てくるパワーも印象的でした。
運転フィールは、乗用車的な『ハリアー』タイプか、オフロード的な『RAV4』タイプかといえば、『ハリアー』タイプ。もちろんあそこまでのラグジュアリー感はないですけど。
とはいっても『ヤリス クロス』のような小気味良いスポーティ感でもなく、しなやかさと安定感が特徴です。自動車評論家さんの記事で、若干上下動が多いという文面を見ましたけど、スタッドレスタイヤで新潟市内メインに走った私には、それを感じることはできませんでした。
1.8ℓエンジンは発進から中速までなめらかな出力で、街中の交差点を曲がるときのスーっとしたソフトな乗り心地が、まるでシトロエンのようでとても驚いたのですが、きっとスタッドレスタイヤのせいもあったと思います。
そして頻繁にEVモードになりました。ハイブリッド車はクラストップレベルの26.2km/ℓ(『Zハイブリッド(2WD)』のWLTCモード燃費)の低燃費です。
なお、4WD仕様の『E-Four』も設定されているので、新潟のドライバーは心強いです。なお、E-Four車はダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションを採用。ということで荷室の容量は、スペースが少なくて済むトーションビームの2WDの方が若干ですが優れています。
ハイブリッド車にはアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)と非常時給電モードをオプション設定していました。
最後に、私の主観ですが、『カローラ クロス』の車格周辺のトヨタで比べてみると、こんな感想でした。
・『ヤリス クロス』よりも走りに落ち着きがあって広い(でも、楽しい走りを優先するなら『ヤリス クロス』)
・『C-HR』よりも穏やかな走りで、後席の開放感の差は歴然(でも、シュッとしたデザインやキビキビスポーティな走りにこだわるなら『C-HR』)
・『ハリアー』よりも取り回しがよく、車両とドライバーに一体感がある(でも、より大きなボディとラグジュアリー感、他にはない存在感がほしいなら『ハリアー』)
・『RAV4』よりも街中ドライブがラクで、地面を近くに感じて運転しやすい(でも、本格的な走破性や、ガンダム的なコクピット感が好きなら『RAV4』)
個人的には、普段ひとりで運転するなら『C-HR』、家族で日頃の外出なら『ヤリス クロス』。高速道路で遠方旅行なら『ハリアー』。キャンプ場なら『RAV4』という感想でございました。
そう思うと『カローラ クロス』は、上記をすべて80%くらいの満足度でこなせる、ザ・トヨタなSUVなのかもしれません。
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