人気軽自動車の『N-BOX』が2023年10月5日、3代目にフルモデルチェンジしました。
ちなみに『N-BOX』は、2023年度上半期(4~9月)の販売台数が、登録車を含む新車販売台数で第1位(※)だったそうです。
※一般社団法人 日本自動車販売協会連合会および全軽自協調べ
そのベストセラーの全面改良ですが、サイズ制限やユーザーを考えると車両価格の上昇を抑えたいであろう軽自動車という枠のなかで、このクルマをどう進化させるのか…とても興味深いものでした。
シンプル家電を連想させる顔つき
今回、試乗車をお借りしたのはホンダカーズ新潟中央松崎店さん。試乗したのはスタンダードモデルですが、シンプルな造形美が印象的です。
フロントグリルにはまるで家電製品のデザインにあるような、丸い穴が採用されています。これは暮らしに寄り添うイメージを目指して、シンプルと親しみを表現したものなんだとか。個人的には、この丸い穴はカロリーメイトを思い出します。
ヘッドライトは人間の瞳みたいで、かわいいですね。
一方、室内は自宅のリビングのような空間に仕上げられています。
運転席前は視界良好。インパネフードの出っ張りがないため開放感があります。明るいカラーを採用するほか、コルクのようなインパネトレーのぬくもりある質感がほっこりさせてくれます。
運転席前の7インチTFT液晶メーターを、ホンダの軽として初採用。また、エアコンのスイッチ類はナビ下にコンパクトにまとめられており、操作性もよいです。
スライド量十分!大人もゆったりできる後席
続いては後席をチェック。スライドドアが大きく開いて乗り降りしやすいですし、室内はとっても広々。大人が足を組んで座れるほどです。スライド量も立派。
シートを跳ね上げれば観葉植物など高さのある荷物も積載できます。
なお、オートスライドドアには閉まる前に施錠を予約できる機能が採用されています。
要はオートスライドドアが閉まるまで、クルマの脇で待たなくてもよいってことです。例えば雨が降っていて傘がないとき、クルマから降りてすぐに立ち去れます。かゆいところに手が届くような配慮がなされた装備ですね。
荷室もご覧の通り(上写真)。後席を前にスライドさせた分、たくさん入ります。サイズに制限がある軽自動車なので、これだけの積載量があれば立派だと思います。
軽自動車トップといえる静粛性と乗り心地
さて、お楽しみのドライブです。今回はショールームを出発し、新潟バイパスや町中を運転してきました。
月刊にいがた12月号『この車このシーン』誌面用に、新潟市中央区にある鯛焼きの老舗・あま太郎さん前で撮影してきたのですが、道中、視界が広く運転しやすいことや室内の静かさに驚きました。
先代と同等の車重でありながら剛性を高めるとともに、遮音フィルムや吸音シートを追加して静粛性を向上させたそうです。
走りの質感はさすが。軽自動車のなかで随一といえるのではないでしょうか。これこそ『N-BOX』の真骨頂! ソフトな足まわりで、路面の凸凹を乗り越える際もうまくいなしています。軽自動車とは思えないくらい上質感ある走りです。
弊社の13年超えの1.2ℓの社用車よりも、段差の乗り越え方が上質です(そりゃそうか)。
エンジンパワーも十分でしたが、より加速力を求める人にはターボ車があります。
ターボは『N-BOXカスタム』に設定。立体感ある造形や、ロー&ワイドに見える専用エアロデザインなど、スタンダードモデルとはまた違うテイストが楽しめます。高速道路の遠距離移動も含めて、キビキビ、スポーティにドライブできそうですね。
なお、ホンダの軽自動車としてホンダコネクトが初採用されています。スマホとつながりリモート操作や緊急時のサポートなどを提供しています。
新型『N-BOX』は使いやすさやクラスを超えたような走り、安全装備やコネクト分野など、すべてにおいて進化していました。
普通車のようにモデルチェンジの度に車格を上げて大型化することができない軽自動車って、商品力をアップさせるのがとても大変なはず。そんななか成熟度を増して進化した『N-BOX』はお見事だと思いました。