フォルクスワーゲンの新型『up!』は、まるで二人三脚のような走り味!?

大人の遊び心が感じられるインテリアカラー&デザイン

ドイツ生まれのコンパクトカー、フォルクスワーゲン(以下VW)『up!(アップ)』がマイナーチェンジを受けたので試乗してきました。

車両をお借りしたのは新潟市東区南紫竹にあるフォルクスワーゲン新潟さん。そして試乗車は上級グレードの『high up!』。

今回の試乗は「走り」の印象が強かったので、そこを中心にお伝えしたいと思います。

まずはその前に、外観や内装の感想からですが、『up!』は停止している状態でもボディ剛性の高さが伝わってくるようでした。

『up!』よりも前に販売されていたコンパクトカー『ルポ』のときもそう思いましたが、VWの最小スモールカーってガッチリ感がありますね。

短いオーバーハングでボディ四隅にタイヤを配置するなど、乗る前から安定した走りを連想させてくれます。

一方、室内は外観同様ポップなカラーリングで、大人の遊び心が満載。

国産コンパクトカーでこんなカジュアルなノリにすると、よもやすると安っぽいなんて評されたりすることもあるけれど、このあたりのデザインはさすがです。

スイッチ類は機能的に配置されていて実用性重視。とても扱いやすいです。

シートカバーもデザイン一新。外側とセンターにそれぞれラインが入り、外観や室内色に合わせてカラーコーディネートされている点がオシャレ。

全長3610mm、全幅1650mmと、国産のコンパクトカーと比べてもコンパクトなサイズですが、大人4人がきちんと座れますし、後部座席も上質なシートで、しっかりとした造りになっています。

ちなみにトヨタ『アクア』が全長4050mm、日産『ノート』が全長4100mm、そして、もうすぐマイナーチェンジを迎えるホンダ『フィット』が全長3955mm。そして全幅は3車すべて1695mmなので、『up!』がどれほどコンパクトなのか分かると思います。

そして、新型の注目ポイントのひとつがスマートフォンとの連携強化。

Bluetoothでスマートフォンと接続することで、ダッシュボード上のホルダーに設置したスマホの画面上で、ナビ機能を使ったり、音楽を楽しんだり、走行データをチェックできたりドライブを快適にしてくれるそうです。

私はアナログ人間なので、このあたりはちょっと苦手のところ。知らない土地は地図と勘で走る方がラクだし、音楽よりラジオのしゃべりを聞いてる方が好きなもので…。

さて、次はいよいよ楽しかった「走り」についてです。

ASGの「D」モードは「二人三脚」や「二人羽織」のような楽しさをもつ

さて、ひと通り内外装をチェックしたら、いよいよ走りに出発です。

ブレーキを踏んで、セレクターレバーをN(ニュートラル)の位置にしてエンジンを始動。

このクルマは75psを発生する1,0ℓエンジンを搭載し、5速ASGを組み合わせています。

「ASG」とはひと言でいえば、クラッチペダルのないツーペダルのマニュアルトランスミッション。「D」モードなら変速操作を自動でやってくれます。

はじめはASGの経験が少ない分、シフトチェンジするときの一瞬、動力が途切れて慣性で進む感覚に戸惑いました。まるでマニュアル車のシフトアップのときと同じ、あの加速が途切れる瞬間です。

CVT車、AT車を運転している気分でアクセルを踏んだままでいると、シフトが変わる瞬間、体が前につんのめっちゃうんです。

最初は正直ちょっぴり不快でしたが、5分ほど運転していたらシフトチェンジのタイミングも覚えて慣れてきました。だってマニュアル車に乗っているつもりで走ればいればいいんです。

つまり、ASGがシフトアップするタイミングに、自分もアクセルをオフにするんです。

この、相手(『up!』)と息を合わせて走る感じは何かに似ているなぁと思っていたらアレです! 運動会の二人三脚です。

自分勝手に走ってもダメだし、相手のタイミングに合わせながら走らなくてはいけません。

はたまた二人羽織にも似ています。羽織を着た人と羽織の中にいる人が、喋りと手の動きを合わせて…ってこれはちょっと喩えが分かりにくいか…。

クルマのシフトタイミングに合わせて走る一体感は、ASGならではのそれであり、ASGならでの楽しみ方なんだと気づきました。

一方、自分の意思で爽快に楽しみたいなら、マニュアルモードにすればOK。エンジン回転を引っ張っておいてパドルシフトでシフトアップ。もちろんその瞬間はアクセルオフで。

ちなみに私は運転中、ときどき“エアギター”ならぬ“エアークラッチ操作”をやったりして楽しみました。すぐやめたけど…。

さすがドイツ車! 速度域が上がるにつれ安定感がアップ!

1.0ℓエンジンはキビキビ元気だったのですが、驚いたのは乗り心地と安定感、そして路面との接地感の高さでした。

こんなに小さなクルマなのに速度が増すほどに乗り心地が安定してくるような感覚を覚えました。

街中の片側一車線道路を時速30〜40kmで走っているときよりも、時速70km程度で新潟バイパスを走っている方が、安定感や接地感が高く感じたのです。

「どうして?」と思うとともに、「ああ、これがアウトバーンがあるドイツのクルマなのか、これがフォルクスワーゲンなのか」と妙に納得しました。

その理由は、ボディなのかサスペンションなのか、自動車評論家ではない一般ドライバーの私には分析できません。でも、そう感じたのは確かです。

試乗の後半はほとんどマニュアルモードで走りました。

Dモードの“二人三脚ドライブ”も楽しいのですが、やはり自らの意思でシフトを決めていくのが私好み。

ちなみにマニュアルモードではシフトアップのタイミングをメーターが表示で教えてくれるです。

でも、ほとんど無視していました。というのも明らかに燃費重視のタイミングなので、シフトアップが早いんです。もうちょっと引っ張ると、さらにエンジンが元気に回ってくれました。

あと、カーブで「いいね!」と思ったのは、ロールが少ないのに乗り心地が硬いわけではなく、しっかりしていてやさしい感じです。

このサイズで、この安定感はすばらしいです。

ちなみに低速域追突回避・軽減ブレーキ「シティエマージェンシーブレーキ」を全車標準装備するなど安全面も配慮。

小さいけど、しっかり「フォルクスワーゲン」です…とはVWのキャッチコピー。

これは勝手な想像ですが、メーカーの立場で考えてみれば初めてのVW車として、この『up!』を購入する方も多くいるからこそ,今後(も購入していただくこと)を見据えたら決してガッカリさせるわけにはいかず、ある意味、他のラインナップよりも真剣に造らなくては!という気持ちでいるのではないかと…。

大きくて高額な車種と違い、価格設定を高くできないコンパクトカーだからこそ、内装の豪華さや派手なパワー、居住性の高さなどで(表現が悪いですが)ごまかすことができないですもんね。

試乗する前は“マジメなクルマ”なんだろうな〜と思っていたのですが、乗ってみたら、そこに加えて“操る愉しさ”もあるクルマだと分かりました。

私、コンパクトカーは大好きですから、もし高速道路を利用した出張が多いお仕事だったら本気で選択肢に入る一台だと思います。

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Car&Life Niigataの編集長。兼、新潟の情報誌『月刊にいがた』の編集部員。広告営業をメインに、読者投稿誌面「ヤングハイスクール」やカーライフ誌面などを担当。編集部イチの車好き。入社以来23年、どんなに歳を重ねようがあだ名は「ヤング」。
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